社内結婚で頼まれ仲人をする上司のスピーチの例

山本君、そして恵子さん、今日は本当におめでとう。

職務柄、若い二人が仕事に打ちこんでいる姿をいつも拝見しているわけですが、こうして並んでいる姿を見ると今日はまた、一層晴れや
かにみずみずしく、私どもの心も晴ればれとしてまいります。

ご両家のご両親様、ご親族の皆様、おめでとうございます。

私は、たまたま新郎新婦の職場での上役ということで、このたびの大役をおおせつかったような次第です。

このおめでたい席で、媒酌人として選ばれましたことは、このうえもなく光栄

なことと、心から感謝しております。

新郎の山本貞雄君は、静岡県清水市にお生まれになりました。

名門東谷大学理工学部を卒業後、私の務め先でもあります、海南工機事業開発部で、専門であるソーラー・システムの開発にあたっている有能なエンジニアであります。

新婦、吹春恵子さんは、福岡県八女市のお生まれです。

醸造業を営まれている謙一氏、治子様の次女であられ、法政大学文学部を卒業後、当社に入社。

現在は社長室の秘書として、各セクションの連絡、調整の業務についておられます。

在学中に、英検一級の資格をおとりになられ、当社の海外プラント関係のタイピストとしても有能ぶりを発揮する才媛です。

仕事柄、私は山本君と四六時中打ち合わせその他で顔をつき合わせているわけですが、一年ほど前からでしょうか、彼がふっと席から消えたり、何かソワソワして落ちつかない感じを受けることが多くなったことがございます。

もう大昔のことですが、私にもロマンスの経験

がございます。

もちろん、相手は左におります家内であることをお断わりしておきますが・・・さて、ピーンとくるものがございまして、それとなくまわりの者に聞いてみますと、どうもこのごろ用もないのに社長室へ顔を出してばかりいる、ということで、彼の思いはすぐバレてしまったわけです。

しかし、彼のえらいのはそれからでして、何をどうしたのか、その後すぐに、二人のことはアツアツのカップルとして知る者ぞ知るという存在になっておりました。

そのへんのいきさつの詳しいところは、本日、出席の栄誉を分かちあっております、同じ部の同僚たちに紹介してもらうとして、媒酌人としてはこのへんで話を結ばさせていただきます。

新郎も汗をふいております。

二人とも責任感の強い、素直な若者です。

それは同じ職場で働く者として保証いたします。

先輩の皆様、友人の皆様、どうぞ二人の前途を見守ってやってあげてください。

最後に、二入をこのように立派に育て、世に送り出されましたご両家のご両親に深く敬意を表したいと思います。


本日はまことにありがとうございました。