親族代表の挨拶の例 その1の続きです。
世阿弥といえば、改めて申すまでもなく、能楽の完成者として知られた人で、この言葉は、「芸道に志す者は、つねに当初の謙虚な気持を失ってはならない。押れて、横着になってはいけない」という意味だと聞いておりますが、このことは、そのまま、夫婦の間についてもいえようかと思います。
夫婦のあいだでは、おたがいに親しみ、睦みあうことがたいせつですが、おたがいに押れすぎて、横着になることはもっともよくないことです。
どうか、二人は、今日、神前で、〈終生変わることなし〉と誓った契りを忘れず、いま、この席で、こんなにも多くの方々から祝福を受けた感激を胸にきざんで、いつまでも、なかよく、信じあい、助けあって、りっぱな家庭を築きあげるようにしてください。
それが、皆さまのご好意におこたえするただひとつの道であり、きょうまで二人をはぐくんでくださった両家の両親にむくいる道でもあるのです。
はなはだ愚弁を弄しまして、ご来賓の皆さまには、たいへん失礼いたしました。
どうか皆さまにおかれましても、このうえとも両人をあたたかくお見守りくださいまして、よろしくご指導、ご鞭撻を賜わりますよう、お願いいたします。
・・・以上が親戚代表の挨拶の基本的な型です。